痔瘻について
痔瘻とは、後天的に形成された肛門官と交通のある瘻管、瘻孔です。肛門周囲膿瘍は痔瘻の初発症状であることが多く、排膿後に瘻孔を形成して、痔瘻になります。一般に男性に多く、女性の5〜6倍の頻度です。年齢は比較的壮年に多いですが、若い人から老人まで幅広くみられます。
痔瘻の大部分は肛門小窩というくぼみから細菌が侵入して肛門線が感染し、周囲に炎症が波及したものです。ほかの原因として、慢性の裂肛から感染したものや、便の中の異物(魚骨、串など)によるもの、クローン病などの小腸や大腸の炎症性疾患の副病変としてできるもの、結核や性病によるものなどがあります。
痔瘻の症状は、痛みや排膿が主で、おしりにしこりができたり、時に出血を見ることもあります。完成された痔瘻には、膿の入り口である一次口と原発巣、膿の通り道(トンネル)である瘻管、膿の出口である二次口があります。痔瘻の型、特に一次口の位置や瘻管の走行は症例により様々です。そしてこれら痔瘻の型によって手術の方法が変わってきます。
複雑で治りにくい痔瘻を20〜30年と長期間放置すると痔瘻から癌化してくることまれにあります。
痔瘻の程度
痔瘻の手術
痔瘻の治療法の原則は手術です。痔瘻の原因となっている肛門内の原発口(入口)と瘻管(膿の通り道)と出口(2次口)を含めて切除します。
瘻管は括約筋を貫いているので、大きく切除しすぎると括約筋を損傷しますが、小さく切除しすぎると不十分な切除となり痔瘻が再発します。解剖や痔瘻の型を十分理解して、
過不足のない、再発の少ない手術が必要です。そのために十分な知識や経験が求められます。
痔瘻の型、瘻管の走行、括約筋との関係を見極めながら、1例1例に対して注意深く手術します。痔瘻の手術は千差万別です。
原則は、
・痔瘻の入り口を確実に処理して
再発しない手術をすること
・
括約筋を損傷しないこと
・術後の痛みの少ない術式
です。
- 切開解放術
|
瘻管を括約筋とともに切り開く手術です。再発の少ない術式ですが、瘻管の深さや場所によっては、括約筋のダメージが大きくなることもあるので注意が必要です。 |
- くりぬき術
|
瘻管だけをくり抜いて、括約筋を温存する手術法です。括約筋のダメージは少ない術式ですが、上の切り開く方法よりは少しだけ再発の危険が高くなります。 |
- シートン法
|
瘻管にゴムなどを通して、瘻管をゆっくり時間をかけて切除していく方法です。切除とともに奥から傷が治っていくので、括約筋のダメージは少なく、再発も少ない手術法です。入院期間は短くてすみますが、ゴムがとれて傷が治るまで2〜3か月と比較的長時間を必要とする方法です。 |
肛門科・外科についてTopへ