40歳代男性 ジオン硬化療法
大学生の折、排便の後に肛門が少し出て来る感触があり、「あれっ」と思ったのが私の痔との付き合い始め。最初はすぐに引っ込んでいたのが、いつの間にか押し込まなければいけなくなって、そのうち長時間立っていたりスポーツをしていると脱肛が起こり、押し込んでもまたすぐ出て来るようになってしまいました。
そのまま放置しておいたところ、年月の経過とともに内痔核は肛門の周囲に広がり、トイレで長く気張ったときには腫れ上がり出血するようになり、平成6年、33歳のときに意を決してK病院で根治手術を受けました。
しかし先生から、「大き過ぎて全部取り切れなかったから再発するかも知れないよ」と言われました。このときは約20日間入院しましたが、術後数日間は大変痛く、痛み止めを打って貰いながらうんうん唸っていました。
手術して数年間は良かったですが、先生の予言(?)どおりいつの頃か再発し、元の木阿弥状態になってしまいました。そのまま、またずるずると年月が経過し、48歳のときに再手術を真剣に考えたものの仕事の都合で入院休暇が取れそうもなく、どうしようという妙案もないままに前田病院を受診しました。
診察してくださった香山先生は、私の症状について、痔は3カ所あり、程度は第3度、本来なら根治手術をした方がいいが、どうしても入院できないのなら、「ジオン硬化術」という注射による治療はどうか。再発率はやや高いが、切らないので入院は1日でよいことなどを説明してくれ、私もそれならお願いしますと応じたところ、翌週には施術を受けることがとんとん拍子で決まり、初診の日に入院の説明を受けて帰宅しました。
施術日は平成20年12月20日の土曜日でした。午前10時前に病院へ行き、施術前の診察で香山先生から、1つの痔核に対し4カ所、計12カ所に注射することや、硬化させるというよりも痔核を吊り上げるような処置だとの説明がありました。そして、とにかく気張り過ぎが一番良くない、再発しないためには1にも2にもトイレは3分以内、全部出し切ろうと思うな、全部出してすっきりしないと気が済まないという患者さんが一杯いると、重ねてご指導がありました。
さて、施術の方は、事前の点滴が一番痛かったほどで、腰椎麻酔も施術自体も全く痛みを感じることなく、あっけないくらいで終わりました。さすがに術後も痛みなしというわけにはいかず、麻酔が切れ始めてからは、おしっこが出なかったり、肛門に火箸を突っ込まれたような痛さに苦しみました。また、数日間は肛門が狭まり便が出にくくて困りましたが、根治手術のときに較べると、比較にならないほど体への負担は軽いものでした。
そして、長年悩まされてきた脱肛から、施術を境にして一挙に解放されました。感覚としては、肛門の括約筋が数センチ上へ持ち上がったような感じで、これが「痔核を吊り上げる」ということかと、妙に納得しました。
施術後、約2カ月が経過した今では、殆ど違和感もなくなってきました。前田病院でジオン硬化術を受け、脱肛が治り本当に嬉しく思っています。しかし油断は禁物です。2度あることは3度あるということにはならないよう、香山先生の言いつけをしっかり肝に銘じていきたいと思っています。